日本人がジャワに来なかったら…

77 名前：名無し三等兵[sage] 投稿日：2006/05/28(日) 17:47:24 ID:???
マラン及び東南アジア一巡記　　　　鈴木　郁弥

元第二十六練成飛行隊員およびその家族、友人等23名にて「マラン」を主とし、更にバ
リ島、ジャカルタ、シンガポールへの慰霊、視察旅行を無事に終了致しまして、ここに、
その見聞記若しくは感想記なる一文を記録し、往時の追憶と共に保有致したいと思い、
拙筆ながらペンを握る次第であります。

そもそも、「マラン」に今一度言ってみたいと本当に考えたのは、昭和52年2月の関東マ
ラン会の時でありました。
その席にて、30数年振りにお会いした中尾さん、その他の会員の方々との「マラン」の
昔話の中で、いよいよ、同地訪問の希望が高まりました。
然しながら、単に「マラン」へ行くとしても、果たして行き得るかどうか。52年には中尾さ
ん、石橋さんが中心となって「マラン」行きを計画されたところ、団体旅行員数に達せず、
実現出来なかったと聞いておりました。
従って、今回之を実行するには、先ず参加人数（最少15名）の確保、費用、旅行スケジ
ュール、又、特に大事なことは、インドネシアの現状によって「マラン」空軍基地への訪問
と慰霊祭の実施が可能であるかどうか調べる事が先決問題となりました。

この間、中尾さんは在マラン市のスカルト氏（元インドネシア空軍大佐）へ手紙連絡をと
り、又、防衛庁の陸上幕僚監部教育訓練部長蔵田十紀二陸将、同調査部長矢部広武
陸将補の方々に面会し、今回我々マランのインドネシア空軍を訪問致したいので、然る
可く御配慮願いたく、又、在ジャカルタの駐在武官の黒田一佐への御連絡も宜しくとお
願いして来ました。
更にここで又幸運にも、在日本インドネシア駐在武官のエルウイン　Ｓ．Ｐ　スロソ空軍
大佐に面会が許され、基地訪問に就いてお話ししたところ、驚いた事に現マラン基地司
令官のスマルノ大佐は彼の同期生との事でありました。
スソロ大佐は心良く我々の目的を了解して呉れまして、基地司令官への連絡を約束しま
した。

78 名前：名無し三等兵[sage] 投稿日：2006/05/28(日) 18:10:17 ID:???
失礼。>77は>60に対して

>77のつづき
いよいよ、マラン盆地に近づきますと、機内のマラン旅行団は段々興奮して参りました。
中尾団長は持って参りました昔の航空地図を取り出して、航法を語り、地点説明をした
りして、さすが昔の面目躍如たるものがありました。たまたま、通りかかったパーサーを
つかまえて、昔このコースを飛んだのだと話しかけたりしましと、パーサーは良くこんな
地図で飛んだものだと驚いておりました。

スラバヤに向うこのバスのガイドはゴザリさんです。彼は特に旧日本軍歌をよく覚えてい
るのには驚かされました。我々でも軍歌集を見ないと歌えない歌詩を三番まで誠に正確
に歌って呉れました。多分、兵補時代に習ったのでしょう。彼は団員一人一人にマイクを
持たせて呉れましたが、声が小さいと「声が小さい、駆け足！」等と気合が入りますので、
皆大笑いでした。　

我々が昔のインドネシアを懐かしむ様に、昔のインドネシア人の中には、我々日本人の
旅行客を懐かしむ人々が多々居る事を初めて知り、矢張り行って来て良かったとつくづ
く思いました。

彼はバスに同乗して呉れまして、ガイド役を買って出て呉れました。さらに､夜のパーティ
ーでも通訳の労を取っていただきました。バリ島でも耳にしましたが、こういう昔のインド
ネシアの人々の我々に対する話しの中に「今こうしてインドネシアが独立出来て､立派に
やって来られたのは、矢張り日本人がこの地に来たお蔭です。色々ありましたが、若し
日本人がジャワに来なかったら独立はもっともっと遅れていた事でしょう。そして､農業そ
の他の技術を日本人は我々に多々教えて去って行ったが、之が今、花を咲かせている
のです」というのがあります。誠に、考えさせられる一言ではないでしょうか。