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811 名前:名無し三等兵[sage] 投稿日:2009/03/14(土) 22:49:03 ID:???
761空の井上氏 その後
テニアン島の日本軍守備隊は壊滅し、敗残兵となった井上氏は、他2名と
一緒に米軍の掃討から逃げ回る毎日となった。
ある夜、井上氏たちが隠れる場所を探していたら、海岸に日本兵二人が
ゴソゴソとやっていた。近づいてみると、一人は見覚えのある整備兵曹
であった。
彼らは筏を組んで、今からテニアン島の目と鼻の先にあるアギガン島へ
渡るという。アギガン島は米軍が無視しており、テニアンから陸兵40名が
送られていたので、井上氏もアギガン島へ渡る事を考えてはいた。
整備兵曹が「お前たちもはやくアギガンへ来いよ」と一声、闇の沖へ消えて
いった。
これに刺激された井上氏たちは、次の晩に筏を組み、海を渡ろうとした。
海上には夜でも米軍の哨戒艇が見張っており、他の2名は体力も無くなって
引き返す。それでも井上氏は、筏から丸太一本引き抜いて単独で渡海しよう
としたが、あと五百メートルぐらいになって夜が明けてしまい、哨戒艇に
発見されて捕まってしまった。
サイパン島の捕虜収容所に送られた井上氏は、米軍からの尋問を受けた後、
指定された幕舎へ入った。見れば井上氏より一晩先にアギガンへ渡ったはず
の整備兵曹が寝転んでいるではないか。
井上氏が彼に声をかけると「なんだ、貴様も来たのか」と、照れくさそうに
笑った。
彼ら二人も昨朝、哨戒艇につかまって、井上氏より一足先にここへ来たばか
りであった。
お互いに気まずい再会であった。