531 名前:名無し三等兵[sage] 投稿日:2009/09/16(水) 18:55:51 ID:???
沖縄特攻の戦艦「大和」の直衛となった駆逐艦「涼月」。大破炎上し、
艦首の区画が浸水して前進航行が出来なくなってしまった。
それでも後進航行で帰投を決意し、約7ノットで夜通しかけて母港を
目指した。
明けて十時頃、五島列島が見え、長崎に向かってコースを変えたら
小さな漁船が現れた。漁船は「涼月」に近づいてくると、船首に漁師が
立って手旗を送ってきた。
「ワレ、貴艦ノ側方ヲ護衛ス」。いつ沈んでもいいような状態で夜間航
行し、疲労困憊していた「涼月」乗組員から久しぶりに和やかな笑い声
が起きた。
漁船に護衛された「涼月」は午後二時すぎ、漸く佐世保港に入った。
艦橋を放棄し、後甲板で指揮をとっていた艦長以下、手空きの乗組員は
後甲板に整列して漁師に敬礼し、漁船と隊列を解いた。
[37回]
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