827 名前:名無し三等兵[sage] 投稿日:2010/11/04(木) 20:23:45 ID:???
商船士官の話し
昭和十九年十月のこと
徴用された貨客船に乗船していた陸軍の兵士数人が、貨客船の商船士官(二等航海士)
に、おそるおそるといった様子で尋ねた
陸軍兵士「船員さんは胸に階級章みたいなものを付けていますが、それは何ですか?」
質問された商船士官は、悪戯を思い付いた
商船士官「君たち、海軍の階級章は知っているね。
金色の筋が二つと、桜が二つあったら、階級は何になる?」」
陸軍兵士「たしか、中佐殿です」
商船士官「その通り。そして私の胸章は、金筋二つに、桜の代わりにコンパスが二つある」
陸軍兵士「すると、貴方は中佐殿と同等なのですか」
商船士官「まったく同等ではないが、船の中では中佐相当の階級という事さ」
これを聞いてびびった兵士達、商船士官に「ありがとうございました!」と挙手敬礼をし、
そそくさと去っていった
商船士官の方は『さすがに中佐とは、言い過ぎたかもしれん』と少し不安になったが、
『あのぐらいびびらせておいた方が、荷役中、航海中に船員の言う事を素直に聞くだろう』
と開き直って仕事に戻ったという
出典『雷跡!! 右30度 ――特攻船団戦記』 宇野公一 著
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