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895 名前:名無し三等兵[sage] 投稿日:2010/01/12(火) 23:09:04 ID:???
もう随分前の事だが某駐屯地の陸曹教育隊に入校していた時の話だ。
その駐屯地には一匹の犬が住みついていた。
そこの隊員にとても可愛がられていて誰が付けたのか綺麗な首輪までしている。
いつも糧食班の裏でカマボコを直員から貰って食ベていた。
彼はカマボコしか食ベない。
そしてとても人懐っこく陸曹教育隊の行軍にもついてくる。
もっともかなり歳らしく疲れてジープで帰って来る事もしばしばあったが。
ある日曜日、隊舎の外で半長靴を磨いていると彼が近くに寄って来た。
堪らずもふもふしていると首輪に付いている物が目に入った。
3等陸曹の階級章だった。
教官か助教が付けたのだろう、陸曹候補生達にいじめられないように。
短かくて長い入校が終った。
自分は部隊へ戻り3等陸曹になった。
数年してその陸曹教育隊は別の駐屯地に移駐した。
その代わりの部隊が某駐屯地に入る事になり、自分はその支援に参加を命じられた。
久しぶりに来たそこには変わらず彼がいた。
仕事が一段落してから彼の所ヘ行く。
相変わらず人懐っこいが大分よろよろしている。
「やっと陸曹になったよお前と同じだな」ともふりながら話かけた。
入校してた時は綺麗だった首輪は大分くたびれていた。
その首輪が何かが付いていた。
4センチ四方のアルミ板…それに3等陸尉の階級章。
「昇任早いなあ、お前」
彼に敬礼してから駐屯地を後にした。
今でもまだ彼の階級に追い付いていない。