351 名前:名無し三等兵[sage] 投稿日:2011/06/12(日) 02:12:25.37 ID:???
>>348
じゃ、鉄ヲタは鉄道部品屋のカモ、となるわけだが、
希少価値においておそらく鉄道部品では最大、値段をつけようにもつけられないのが、
現在、たった1枚が日本に里帰りしている「泰緬鉄道に出征したC56型蒸気機関車のナンバープレート」。
鉄道省の蒸気機関車には砲金で作られたナンバープレートが前後左右、1両に4枚取り付けられており、
これは鉄道省に新造配属後、陸軍鉄道連隊に徴用されて海を渡ったC56も例外ではなかった。
輸送中は取り外され、泰緬鉄道入りの前の試運転で付け直される念の入れよう、
日本鉄道省の機関車であることを示す誇りの象徴であったのだ。
だが、泰緬鉄道のC56も戦闘で消耗し、もはや届かない部品を取るための部品取り機ともなり、
それでも生き残ったC56が敗戦によってタイ国鉄、ビルマ国鉄に引き渡される際、
高価な材料でできていて、直接に走行に影響しないナンバープレートは、
残らず引き剥がされてしまったのだ。
日本国内の蒸気機関車からも、銃砲の薬莢を作るため、ナンバープレートは全てはがされたぐらいで、
敗戦国の機関車のこと、金目の部品が奪われるのも仕方がなかった。
352 名前:名無し三等兵[sage] 投稿日:2011/06/12(日) 02:20:02.74 ID:???
しかし、それをよしとしない鉄道連隊の兵がいたのだろう、
あるC56の後部ナンバープレートを裏返しにして付け直し、上からペンキを塗って、
ついているとはわからないように偽装したに違いない。
戦後、鉄道連隊OBによってタイ国鉄に残っていたC56の実態調査が始まり、
「願わくば里帰りさせてやりたい、それが叶わないならせめて部品でも日本に持ち帰りたい」
その時点でさえ、相当数のC56が廃車となり、
スクラップヤードに無残な姿をさらしていたのだが、
ある1両の後部に目を留めた鉄道連隊OBは、裏返しにして取り付けられているナンバープレートを見逃さなかった。
タイ国鉄マンの協力を得て、そっと取り外すと、
日本から出征したときについていたナンバープレートが、そのまま外れたのだ。
鉄道連隊OBはタイ国鉄担当者の快諾を得て、今は色もくすんだナンバープレートを持ち帰り、
磨き上げることもせず、そのまま、大切に保管することにして、現在に至る。
353 名前:名無し三等兵[sage] 投稿日:2011/06/12(日) 02:28:01.50 ID:???
なお、タイ国鉄と鉄道連隊OBのその後の交流によって、
C56の31号機、44号機の2両の里帰りが決まり、
泰緬鉄道開通式で1番列車を引いた栄誉を持つ31号機は靖国神社遊就館に保存され、
程度のよかった44号機は大井川鉄道にて動態復元。
今もなお大井川鉄道を走る一方、
日本国内に残ったC56に比べて短い煙突、運転席屋根の頂部を平らに削いだ屋根の形に、
できるだけ高さを切り詰めざるを得なかった、泰緬鉄道時代の過酷な運転条件の面影を残している。
358 名前:名無し三等兵[sage] 投稿日:2011/06/14(火) 20:43:03.77 ID:???
>>355
タイに残されたC56のうち、15号機が今も完璧な整備状態で動態保存されており、
大井川鉄道の44号機に負けないぐらいピカピカに磨き上げられて、
年に数回、国王誕生日などにタイ国鉄のイベント列車を引き、旧泰緬鉄道の路線を走っている。
前面だけだが、タイ国鉄が作ったレプリカのナンバープレート「C56 15」をつけて。
鉄道省のナンバープレートとは少し違うがそこはご愛嬌だ、
それより、今も大切にC56を走らせているタイ国鉄に感謝と敬意を表したい。
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