165 名前:名無し三等兵[sage] 投稿日:2012/08/19(日) 23:42:26.34 ID:???
昭和50年春、エジプトのスエズ運河庁長官一行が来日、国鉄本社を訪れた。
「新幹線の運行管理技術をスエズ運河に適用できないだろうか?
第3次中東戦争で破壊された技術を復旧するにあたって、新技術のかたまりである新幹線を調べに来た、
協力してくれるなら、何とか導入したい。
実は運行管理技術はスエズ運河開通して以来、昔のままで、追突事故が絶えないのだ」。
当時のスエズ運河は全長169kmの単線、途中2箇所に行き違いのポイントがあり、
船が起こす波で土手の砂が崩れ落ちるのを防ぐため、航行制限速度は7・5ノットを厳守、
スエズ運河航行中はスエズ運河専属の水先案内人が乗船し、
運行管理は2・5kmごとに設けられた信号所が、昼は旗旒信号、夜は灯火信号で船の航行を管制する、
鉄道に置き換えるとローカル線の単線、それもふた昔前のようなシステムだったのである。
国鉄は船舶航法の違いから始めて鉄道との違いを洗い出し、国際法の資料も揃え、
昭和50年秋、現地に視察団を派遣する。
そこで視察団が見たものは、追突事故の原因である船の速度超過に対して信号所からスピーカーで警告するしか方法がない、
各信号所を結ぶVHF無線も聞き取りづらい、これでは事故が多いのも当然と思える実態であった。
166 名前:名無し三等兵[sage] 投稿日:2012/08/19(日) 23:43:11.88 ID:???
国鉄は新幹線のシステムをスエズ運河に置き換えた、全く新しい運行管理システムを提案した。
2・5kmごとの信号所を全廃し、信号所跡にはUHF無線の受信機を置く。
受信機は新たに設けられた中央指令所とケーブルで結ばれており、指令室にはスエズ運河全体を表示する巨大な照明盤を設置する。
スエズ運河を通行する船舶に乗船する水先案内人に、あらかじめ専用のUHF無線機とコード番号を与え、
信号所跡の受信機近くを通過すると、たちどころに照明盤に船の位置情報が表示されるようにする。
速度超過や事故が起きた場合には、UHF無線で指令室から水先案内人に指示が走る。
視察団が派遣されてから2年後、国鉄の提案通りの運行管理システムが完成すると、
第3次中東戦争の戦災復旧どころか、スエズ運河における追突事故は根絶されたのである。
167 名前:名無し三等兵[sage] 投稿日:2012/08/20(月) 01:47:15.78 ID:???
国鉄ですか。
やるなあ。
168 名前:名無し三等兵[sage] 投稿日:2012/08/20(月) 05:23:48.86 ID:???
国鉄の運行管理システムに目を付けるって所も凄いな
169 名前:名無し三等兵[sage] 投稿日:2012/08/20(月) 07:45:48.31 ID:???
両国の凄さだね。国鉄の管理システムに目を付けたエジプトも凄いし畑違いの船の事でも誠実に対処した国鉄も凄い。
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