163 名前:名無し三等兵[sage] 投稿日:2009/07/20(月) 06:41:12 ID:???
随分昔だが、俺の小隊が基地の盆踊りに模擬店を出すことになった。だが、スタートが
遅く、他の小隊がめぼしいものを先取りしているうえ、金も物もないので出し物が決まらない。
小隊先任はちょっと考えたが、「ゴミ捨て場に行け」と指示を出した。
ゴミ捨て場は基地内の草刈りで集められた草が積み上げられている。そこを掘り返せと言う
のだ。取りあえず草を掘り返す。夏真っ盛りの炎天下、草は雨水と熱気で発酵して堆肥のよう
なにおいを出している。閉口しながら掘り返していると、出てくる、出てくる。カブトムシが
幼虫成虫を問わず埋まっている。先任はこれを売れと言うのだ。
よそに出し抜かれるとまずいので、盆踊りの一週間前にカブトムシを捕獲した。当日まで生か
しておかないといけないので、飼育を開始。飼育箱はやはりゴミ捨て場から調達した機銃弾の木箱
で代用。餌はお茶用に購入した砂糖のお古を煮詰めて蜜状にして給餌。炎天下に置いておくと弱って
しまうので、空調のある待機室において課業外は自隊警備要員が世話した。
当日まで強制につがいにしたカブトムシをセットで販売、色も形も今一のカブトムシながら、
目出度く完売となった。ワンセット500円で100セット、50,000円のの売り上げ也。今なら利益を
出すなとうるさいが、昔のことなので、全て小隊費となり、忘年会は例年より、やや豪華だった。
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