785 名前:名無し三等兵[sage] 投稿日:2014/09/14(日) 22:29:26.80 ID:uoURtoZB
昭和20年6月19日夜、国鉄豊橋駅。
大阪発東京行き夜行列車が、0時30分過ぎ、豊橋駅に停車した。
当時は蒸気機関車が列車を引いており、停車駅によっては石炭の燃え殻をボイラの灰箱から落とし、
いわばボイラの掃除をする必要があった・・・その作業を機関士と機関助士が行っていると、
機関車のところに走ってきたのが豊橋駅助役。
「発車時間まであと2分あるが、間もなく空襲が始まる、今すぐ発車してくれ!」
定められた発車時刻より早く発車するとは国鉄の規定違反ではあったが、
駅長の指示であり、何より、B29の不気味なエンジン音が豊橋駅から聞き取れるほどになっていた。
すぐさま発車した夜行列車の機関助士が、発車2分後、列車後方を振り向いて見たものは、
火の海に包まれた豊橋駅方面であった。
機関助士が機関士にそれを告げると、機関士も言葉を失っていた・・・が、
この夜行列車は15両編成、機関車まで合わせると全長は320メートルになる。
定刻2分前に発車したといったところで、最後部の客車の乗客は、
豊橋駅間近に落下した焼夷弾や爆弾を見たにちがいない、
それどころか、この夜行列車には1000人以上の乗客が乗っていたのだが、
もし、定刻に発車しようとして豊橋駅を襲った空襲に巻き込まれたなら、
乗客が火の海に襲われていたかも知れなかったのだ。
規定に反してまでも列車を発車させた豊橋駅長の判断は、1000人以上の乗客の命を救ったことになる。
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