487 名前:sage[名無し三等兵] 投稿日:2009/01/10(土) 21:37:40 ID:???
バルジの戦いのさい、ナチの親衛隊(SS)の先鋒部隊がアメリカ軍の前線を破ってアルデンヌの森に侵入した。
1944年12月のことだ。士気をくじかれたアメリカ軍の部隊は恐怖に駆られ、ナチスに追いすがれながら
アルデンヌの森を抜ける小道を逃げていた。私のかつて所属した第82空挺師団は予備部隊であったが、
敵の前進を食い止めるために送り出された。
第82師団の落下傘兵たちは昼も夜も行進して、アルデンヌの森を抜ける小道に阻止陣地を築いた。
彼らの任務と権威と責任は、逃げてくる米軍部隊と協力し、ナチスの進撃を食い止めることだった。
そして彼らはそのとおりに実行した。
1台のアメリカ軍の戦車--死をもたらす30トンの鉄塊--が森を抜ける小道を逃げてきた。
その道の脇に1人ポツンと落下傘兵が立っている。カメラマンがとらえたこの若者は、
落ちくぼんだ目に3日間伸ばしっぱなしの無精ひげ、手にはM1ガランドを持ち、背中にはバズーカを担いでいる。
片手を上げて逃げくる戦車を止めた。戦車がぎりぎりと止まってから、疲れた落下傘兵は戦車長を見上げて尋ねた。
「よう、避難場所をさがしているのか」
「ああ」戦車長が答える。
「それじゃ、おれの後ろに戦車を駐めろよ。おれは第82空挺部隊員だ。あんちくしょうどもをこの先に通しゃしない」
[3回]