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軍事板「戦時中、戦場でのほのぼのとした話」スレまとめサイト
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810 名前:名無し三等兵[sage] 投稿日:2013/11/23(土) 21:54:08.81 ID:???
戦時中のことに関して今の世代に責任なんかない。
ただ心情としては責任を感じてしまうこともあるだろうし、例えば自分の爺さんが実は人を殺していた…みたいなことがあったとして、孫には刑事罰も何も適用されないが、遺族に対して「まあ未来に生きようや、たかり屋ちゃうんやし」なんて口が裂けても言えない筈だ。
そりゃ少しは引け目を感じるのが人間だけど、実際に土下座したり慰謝料を払うなんてのは馬鹿げている。

うちの近所でもこんな話があった。

故郷の同じ兵隊さんと下士官さんがいて、家も近い。
兵隊さん(二等兵)は商店の次男坊で、下士官さん(軍曹)はただの農家の四男。軍曹は元は交通局のバス運転手だったのが輸送部隊に取られていて、二等兵より一回り年上なので面倒頼むよとお願いされていた。

それで二人とも大した苦労や武勇伝もなく広東から復員したんだけど、とても険悪な関係になってしまっていた。元々〇〇やん、〇〇兄と呼び合う間柄だったのにね。
二人は理由を頑として語ろうとせず、それから町内での集まりで二人が目でも合わそうものなら因縁の付け合いが始まり、二言目には殴り合うというはた迷惑な状態が続いた(まあ河内の人間なので元から喧嘩っ早い…)。
自然と互いの子供や親戚同士も何処か宿敵という感情を抱くようになり、
「〇〇家のガキに負けたら家入れんぞ」「〇〇の店で買いもんすな」という緊張状態にまで至ってしまった。そして半世紀が過ぎた…


811 名前:名無し三等兵[sage] 投稿日:2013/11/23(土) 21:55:31.68 ID:???
つづき

バブルが弾け、故郷の宅地開発地にも閑古鳥が鳴くようになった頃、二等兵が亡くなった。その十二年前には軍曹もゲートボール場で憤死していたから、当事者が居なくなってしまったのである。
互いに焼香こそ上げなかったが香典は送っていた。ただこのコミュニティー希薄な時代に付き合いが戻るわけもなく、更に二年が過ぎた。
そうして三周忌の朝、法要で忙しい筈の二等兵の長男が軍曹の家を訪ねたのである。
「〇〇のとこの良治(仮名)やけど、ちょっと墓来てくれんか…」
すでに宿敵心も遠く薄れていたいたし、さすがにご近所さんに線香の一本も上げないというのは変なので、軍曹の長男隆夫(仮名)は言われるままにした。
自分の父の仇(?)の墓に線香を上げ、手を合わせた隆夫が帰ろうとすると、良治は「昼食あるから帰らんとって」と引き止めた。酒好きな隆夫はそれに従った。
そして年忌のお高い弁当に酒も進んだ隆夫に、顔を赤くした良治は言うのである。
「どっちの親父も死んだし、ここで付き合い戻さへんか」と。
良治の話はこんな案配であった…

 大陸で家族を想い寂しがった二等兵は現地調達した家鴨に首輪を付け、可愛がっていた。糧食を分けてやるのでみるみる太り、それが軍曹の目に止まって食べられてしまった。
 二等兵は悲しみ、軍曹も謝ったが逆に取っ組み合いの喧嘩となって、そこから仇同士のようになってしまった…

 結局、それからは普通の近所付き合いになったけど、俺は全く引け目を感じていない。そういえば家鴨食ったことないな

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